この場面に登場するビジネスパーソンの男性は全く英語がわかりません。同僚の女性が話している英会話に対して、「?」な状態。
耳で音を拾いつつも、意味はさっぱり。おそらくこちらをお読み頂いている方にも心当たりがあるかもしれません。
しかし、ネイティブの赤ちゃんだって最初はこんな状態。だから、気にする必要はありません。
この状態ではとにかく、「音を聞く」それだけで良いのです。
次に、意味がわからない中でも諦めるのではなく、「何を言わんとしているのか」を想像力をかき立て、ニュアンスだけでもつかめるように試みます。
その試みが間違っていたとしても全然問題ありません。「音を聞き、想像する」ことを繰り返すことで徐々に理解へと近づきます。
この場合だとbroke (break) という言葉から、“何かが欠けて、不完全になる”というイメージを膨らませられたらそれでOKです。
男性は先の場面から場所を移し、壁が壊れた家の前に立っています。そして、その状態と先の場面の「カバンのとってがとれている」イメージが一緒であることに気づきます。
もしかしたら同僚の女性は、「とってがとれている(壊れている)状態を言っていたのかも、という推測が頭の中に浮かびました。
要するに、“何かが欠けて、不完全になる”イメージを視覚的にとらえられたことで理解へ一歩前進したと言えるでしょう。
男性はこれまでの想像を経てきたことで、この「壊れている」状態、すなわち“不完全になった”というイメージとbreak という単語を頭の中で結びつけます。
こうしたフローを重ねることによって英語の語彙力が高まっていきます。そして、これこそが単語帳ではなかなか習得できない、ナチュラルな英語の学び方です。
上記のような経験を繰り返すことで、自分が伝えようと発する会話の中にイメージが生まれます。
そして、そのイメージに紐付いた単語がナチュラルに発せられ、相手にそのイメージを伝えられるようになります。
そのボリュームが経験とともに増大することでスムーズな“スピーキング”が実現することになります。